【最初に読む】貸株サービスの仕組みを、世界一わかりやすく解説します
「貸株サービスの仕組み」を、世界一わかりやすく解説します。
この記事のポイントは次のとおりです。
- 個人投資家から借りた株を、証券会社が貸株市場で運用する。
- 証券会社が貸株市場で得た収益を、個人投資家に還元する。
- 貸株サービスは資産運用の手助けをするが、リスクもある。
次の概念図が理解できたらOKです。
貸株サービスの仕組み
貸株サービスを利用したときの基本的な流れを説明します。
登場人物は、”個人投資家”と”証券会社”です。
個人投資家視点の場合。次の手順を踏みます。
- 証券会社に保有株を貸す。
- 証券会社から相応の金利(”貸株金利”と呼ばれています)を受け取る。
証券会社視点の場合。次の手順を踏みます。
- 個人投資家から株を借りる。
- 個人投資家に相応の金利(=貸株金利・貸借料)を支払う。
要するに・・・
資産を貸した対価として、レンタル料を授受しています。
身近な例でいうと、銀行にお金を預け(貸し)て、預金金利を受け取るようなものです。
現金を銀行に貸すように、株式を証券会社に貸しています。
貸す資産が、日本円か、株式かの違いです。
この対比を表で整理してみます。
対証券会社 | 対銀行 | |
---|---|---|
貸し借りの対象 | 株式 | 預金 |
貸し借りで生じる対価 | 貸株金利 | 預金金利 |
一日あたりの貸株金利は、次の式で計算されます。
貸株金利(円/日)=参考時価(円)✕ 貸株数量(株)✕ 貸株レート(年率)÷ 365
貸株金利を計算するための貸株レート(年率)は、証券会社が銘柄毎に提示しています。
※レートのことを、多くの証券会社では”貸株金利(年率)”や”貸借料率”などと呼びますが、実際の受払額の”貸株金利”と表現を区別するため、この記事では”貸株レート”という表現を使います。
貸株金利の計算例を挙げます。例えば、
- 参考時価(円)=500円
- 貸株数量(株)=100株
- 貸株レート(年率)=1%
の場合、
貸株金利 = 500 ✕ 100 ✕ 0.01 ÷ 365
≒ 1.36(円/日)
となります。
言い換えると、「保有株を年率1%で1日だけ運用した」ということになります。
想像してください。
例えば、「長期保有する高配当銘柄を貸株しておく」となると、この貸株金利の積み重ねは無視できないかもしれないです。
ところで、証券会社は、なぜ株を借りてくれるのか。
・・・・・
借りたい理由があるからなんですね。
次に進みます。
”貸株市場”で株式を運用をする証券会社
“貸株市場”って言葉、聴いたことありますか。
ほとんどないと思います。
貸株市場は、金融機関の間で「株式の貸し借り」が行われる市場のことです。
この市場では、株を借りる金融機関(ヘッジファンドや証券会社等)と、貸す金融機関(機関投資家や証券会社等)が相対で取引をしています。
貸株サービスと同様に、株の借り手は、貸し手に対して”貸借料(=貸株金利)”を支払います。
※貸株市場では、このレンタル料のことを”貸借料”や”fee”と呼んでいます。
では、なぜ株を借りる必要があるのでしょうか。
・・・
株を借りたい証券会社の事情は次の通りです。
- 信用取引の空売りのための需要対応
- 投資家の買い入れ注文への対応
- 証券受渡(決済)のフェイルカバー対応
※詳しくは後日の別記事で解説します。
証券会社は、この事情の通り、投資家の売買注文を取次ぎ、実際の受け渡しまで管理しています。
貸株市場は、この売買注文や受け渡しを支えています。株式の流動性(資産の交換のしやすさ)向上に寄与しています。
株式の流通を支える仕組みの一つが、この貸株市場です。
貸株市場が、皆さんが株を売買する場所である”株式市場”の動きを、裏で支えて(補完して)いるわけです。
かつては、機関投資家等が、この貸株市場に、貸し手として参加してきました。
最近では、個人投資家も、貸株市場に参加できる環境が整ってきています。
それが、貸株サービスなのです。
証券会社は、貸株サービスを通じて集めた株を、貸株市場で貸し出し、運用してくれています。
もちろん、その証券会社は、運用の成果として、貸株金利を借り手から受け取っています。
貸株市場で得られた貸株金利(の一部)が、貸株サービスの貸株金利として、個人投資家に還元されるのです!!!
例えていうと、「投資信託を買っていて、定期的に分配金が入ってくる」。そんなイメージです。
資産運用の手段としての貸株サービス
長くなりました。まとめに入ります。
「貸株サービスを利用する」とは?
- 個人投資家は、貸株サービスを利用して、証券会社に株を貸す。
- 証券会社は、個人投資家から借りた株を、貸株市場で運用する。
- 証券会社は、運用の成果として、貸借料(=貸株金利)を受け取る。
- 証券会社は、貸借料(の一部)を、貸株金利として、個人投資家に還元する。
資産運用の観点でいえば、個人投資家は、「株式市場で株式を購入する」だけでなく、「貸株サービスを通じて間接的に貸株市場に供給側(貸し手)として参加し、さらなる運用利回りアップを期待できる!」ということになります。
裏返して言うと、貸株レート(年率)の大小は、「その証券会社の貸株市場における運用成績」に依存する、ということになるでしょう。
このことが、「貸株サービスを提供している証券会社間で、貸株レート(年率)がわずかに異なる」原因であると考えられます。
つまり、個人投資家としては、「どの証券会社の貸株サービスを利用するのが効率的か」を、見極める必要が出てきます。
ここまで解説したように、貸株サービスは、個人投資家にとっても、貸株市場にとっても、都合の良い仕組みです。
しかしながら、良い話だけではありません。
次の記事では、貸株サービスの注意点を整理しています。
貸株サービスの注意点~貸株をするデメリットやリスクを知ろう~
今回の記事は以上です。ありがとうございました。
貸株市場に関する書籍
下記の書籍を参考に執筆いたしました。
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