貸株サービスのリスクを減らそう~便利な機能比較~2021年1月最新版

貸株サービスのリスクを減らそう~便利な機能比較~2021年1月最新版

貸株サービスのリスクを回避できる機能の解説」と、「それを有する証券会社の紹介・比較」をしていきます。

  • 貸株のリスクを低減できる便利な機能がある。
  • 現状、証券会社の便利機能の有無の差は小さくなりつつある。
  • 貸株サービスを利用するときは、機能だけでなく貸株レートにも注意したい。

貸株サービスの便利機能

まず初めに、貸株サービスのリスクと、それを低減できる機能の対応を整理します。

 

リスク 機能 説明
名義変更 優待解除 優待の権利確定日前に、貸株が自動で解除される。株主として、優待の権利を取得できる。※解除時には貸株しない状態になるので、貸株金利は発生しない。
CA解除 コーポレートアクション(=CA)の権利確定日前に、貸株が自動で解除される。※実は、戻さなくても効力を受け取れる場合も多い。詳細は、今後の記事で解説する。※解除時には貸株しない状態になるので、貸株金利は発生しない。
配当金相当額 配当の権利確定日に貸株をしていたら、配当金に相当する額を証券会社から受け取れる。ただし、配当金ではないので、税制上の扱いも変わってしまう。
一部貸さない 指定した株数は貸株しないので、株主番号を固定できる。そのため、長期継続保有の条件を満たしやすくなる。
配当解除 配当の権利確定日前に、貸株が自動で解除される。株主として、配当の権利を取得できる。※解除時には貸株しない状態になるので、貸株金利は発生しない。
信用余力の減少 代用のまま貸株 信用取引の委託保証金として差し入れている代用有価証券を貸株しても、信用余力が減らない

注意:わかりやすく一般化した説明です。各社での機能の呼称や詳細は、各社のページで確認してください。

 

それでは、

  • どんな証券会社が貸株サービスを取り扱っていて、
  • それぞれ、どの機能を実装しているのか

を比較していきましょう。

 

貸株サービス取扱証券会社と、便利機能の実装状況

貸株サービス(もしくはそれに類似したもの)を提供している証券会社と実装機能一覧は次のとおりです。

証券会社別の貸株サービス機能比較表

機能
/ 証券会社

SBI証券 楽天証券 auカブコム証券 マネックス証券 松井証券 GMOクリック証券 スマートプラス

野村証券

優待解除
CA解除
配当金相当額
一部貸さない
配当解除
代用のまま貸株

※2020年11月サイト主調べ※記号説明 ○:実装あり △:一部条件あり ✗:実装なし※実は、各証券会社で、その他細かい仕様(ローカルルール)の差もあります。(例:信用口座を開いていると貸株できない。貸株金利の入金タイミングが○○日。など)申し訳ありませんが、ローカルルールに関しては、各社のHPで確認をお願いします。※野村證券は、「野村の株式得とく登録」という名称で類似サービスを行っています。

 

この表から見られる特徴と傾向を整理します。

 

貸株サービス機能概観

  • 各ネット証券の貸株サービスは出揃い、スマートプラス(スマホ証券)といった新興も参入している。
  • 大手ネット証券では、機能も出揃ってきている。
  • 野村證券も、「野村の株式得とく登録」というサービス名で、貸株サービスを提供している。

 

各社共通点(できること)

  • 優待権利獲得のための解除機能は実装されている。
  • コーポレートアクションの権利獲得のための解除機能も、ほぼ実装されている。
  • 配当に関わる機能2つ(配当金相当額・配当解除)のうちいずれかは、全社実装している。

 

各社共通点(できないこと)

  • 議決権等の権利確定のための、貸株の自動解除機能はない。ただし、権利確定日がCAや優待と同じであれば、ついでに対応できる。権利確定日が同じでない場合は、対応されないので注意。
  • 通常の貸株サービスでは、信用リスクは低減できない。貸株の解除で、名義を戻すしかない。ただし、「代用のまま貸株」の場合は、証券会社から現金担保を差し入れてくれているので、その分は回避できる。

 

各社相違点

  • 「一部貸さない」「配当解除機能」「代用のまま貸株」の機能に関しては、証券会社間で差が見られる。
  • 意外にも、最大手のSBIでは、「配当解除機能」「代用のまま貸株」の機能が実装されていない。

 

内容が細かくなってきました。

まとめに入ります。

貸株サービスの便利機能の違いに注意すべし

貸株サービスにはリスクがあります。

しかし、証券会社が実装してくれている各機能によって、名義変更のリスクを回避できます。これは、「自動解除」という機能によります。

 

一方、貸株サービスが無担保契約であるルール上、「信用リスク」は低減できません

 

SBIを除く大手ネット証券は、便利機能が出揃ってきました

GMO、スマートプラスといった後発組は、機能の充実度がまだまだ弱いかなという印象です。

 

例えば、便利機能の視点で証券会社を選ぶ場合、「全部の機能が実装されている楽天証券・マネックス証券、松井証券がいいかも?」となるわけです。

もちろん、「信用取引はしないよ」という人は、それに関する機能(代用のまま貸株)は不要なので、「SBI証券がいいかも?」となります。

ここまで機能について整理しましたが、注意しておきたいことがあります。

今回、各社の比較基準として、「貸株サービスの主なリスクを低減する機能」を用いました。

 

しかし、重要な比較基準がもう一つあります。

それは、「貸株レート(年率)」「貸株金利」です。

例えば、銘柄Xについて、A証券では4%、B証券では10%をつけている、といったこともあります。

これだけ貸株金利に差があるのであれば、機能の優劣にある程度目をつぶることもできるかもしれません。

 

反対に、貸株金利にそこまで差がなければ、機能が充実した証券会社を利用すればよいということになります。

 

要するに、どの証券会社の貸株サービスを利用するかを決める際に、

便利機能と金利、それぞれの違いを理解して、自身のスタイルに合った貸株サービスを選んでほしい」ということです。

このことが、長い目で見れば、株の運用利回りアップに寄与します。

 

次の記事で、各社の貸株レートの比較に踏み込んでいきます。

貸株レートを証券会社ごとに比較します!とその前に

 

今回の記事は以上です。ありがとうございました。

 

補足①:信用リスクの低減方法

貸株サービスが無担保契約である以上、信用リスクを低減できる機能はないと述べました。※代用有価証券を貸株する際は、信用余力分の担保が確保されます(有担保)。

 

しかし、自主的に低減する方法はあります。

株を貸した先の倒産リスクを分散できれば良いので、

「複数の証券会社の貸株サービスを利用する(=株の貸出先を特定の1社に限定しない)」

ことによって、信用リスクを低減できます。

 

補足②:外国株も貸株したい場合

リスクヘッジ機能ではないですが、外国株を貸せるという、特有の機能を提供している証券会社があります。

SBI証券では、米国株の貸株サービス(=カストック(Kastock))を提供しています。

 

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